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次世代のリーダー人材が育たない組織の共通点

管理職になるのは「転職」と同じ


わたしは、管理職(中間管理職含む)が、「もっと軽やかに」チームの力を最大化していけるように、育成支援をしています。


自分自身も管理職に任命された経験がありますが、管理職になるのは、ロールプレイングゲーム(RPG)の「転職」と同じだなと思います。


それまで、現場で顧客にサービスを提供するスキルを伸ばしてきて、レベル80まで上げてきていたとしても、管理職になれば、これまでとは全く違ったスキルが求められます。


RPGでは、一定のレベルに達すると、「戦士→魔法使い」といったような職業選択(転職)できたりします。レベル80の戦士も、魔法使いに転職するとレベル1から再スタートしますね。


  • それまで培ってきた知識やスキルだけでは通用しないので、新たな知識やスキルの習得が求められる

  • パーティ(チーム)がいるステージは、レベル80で戦う敵と遭遇するようなステージなので、魔法使いレベル1で戦いに参戦すると、最初は苦労する

  • 魔法使いとして一定の戦力になるために時間が必要でも、パーティの戦いは続く  等


どれだけそれまでの戦力=テクニカルスキル(実務遂行能力)が高くても、新しい職業(管理職)に就くとなれば、教育・訓練が必要です。


エキスパート育成(テクニカルスキルの訓練)だけでは苦労する


新人の時は、テクニカルスキルの習得が必要ですが、中堅社員や主任・係長などの役職者になってくると、現場目線だけでなく、チーム目線、会社目線、業界目線など、高い視座が求められるようになります。


中小企業の場合、現場で必要なテクニカルスキルを習得する教育はしていても、マネジメントの教育が体系化できておらず、前任者からの「業務(作業)の引き継ぎ」しかなく、上述の高い視座で物事を捉え、サービス品質向上や生産性向上のための「問題解決力」を高めるトレーニング(教育研修)が体系化されていないところが、多い印象です。


ブログタイトルにある、「共通点」とは、まさにここにあるとわたしは考えます。


①視座を増やす

②問題解決力を高める


この2つのトレーニングとして、わたしはマネジメント研修を位置付けています。


エキスパート育成(テクニカルスキルの訓練)だけでは苦労する


①視座を増やす


 これまで現場でサービスを提供していた時には、見ていなかった(見えていなかった、知らなかった)ことを見ること(見せること、知らせること)が必要です。


 現場でサービスを提供していた時には、より良いサービスを提供するということに全力を注げば良かったわけですが、実はチームでサービスを提供しているので、チーム目線での改善が必要な課題もあります。


 あるいは、サービスの品質を向上するために、会社として整備すべき環境や仕組みなど、会社目線(組織ぐるみ)での改善が必要な課題もあります。


 さらに、サービスの品質を向上するために、自社だけでは解決できない問題もあります。人材採用が困難である、地域資源が乏しい、業界全体の規制が厳しい等、業界目線での改善が必要な課題もあります。


 そうした視座を増やす機会を作らなければ、社員はいつまでも現場目線に留まります。あげく、「上司が悪い」「会社が悪い」と愚痴をいうばかりになってしまい、一緒に考えるというスタンスさえもたず、あたかも敵であるかのように、上司や会社に非協力的な姿を見せる社員が増殖していくことにもなりかねません。


 裏を返せば、「業界目線ー会社目線ーチーム目線ー現場目線」のつながりを見せ続けている組織では、社員の視座が多く、視野も広く、会社の一体感もあり、経営も運営も安定しています。


②問題解決力を高める


 問題解決力を高めるといわれても、ピンとこないかもしれません。


 なぜなら、私たちは日々、生活している中で自分なりに問題を解決しながら生きていますので、それはわざわざ学ばなくてもいいんじゃないの?と思う方もいるでしょう。


 ところが、仕事の中で求められる問題解決には


  1.  問題が解決することでどんな価値が生まれるのかを定める

  2.  現状分析し、課題を特定する

  3.  課題の要因を分析する

  4.  解決策を検討し、実行に移すための計画を立てる

  5.  計画を実行した結果を評価する

  6.  そこで問題が解決すれば完結するが、解決しなければ再び1から作業を行う


 という過程があり、いずれの過程でも行き詰まることなく、進める力が求められます。


 そして、エキスパートとしての問題解決力が高くても、管理職の問題解決力が高いとは限らないのは、お分かりいただけるかと思います。


 相手がサービス利用者である場合と、職場の新人・部下・同僚・上司である場合とで、やはり後者の場合は、一筋縄ではいかない複合的な要因がからんでくるので、組織課題の解決に求められる問題解決力を高める必要があるのです。


気づく企業は気づき始めている


 このままでは企業の存続が危うい。そう推測できる判断材料がいくつも上がってきている中で、将来性のある企業は、人への投資と、持続可能な組織作りの重要性に気づいきはじめているように感じます。


 そうした企業は、管理職育成に動き始めていますし、生産性向上に向けての業務改善などを行なっています。


 次世代リーダーの候補者がいないのは、いまのリーダーへの教育やサポートがないことも関係していると思います。


 ぜひ、中長期的な経営戦略の中に、リーダーの育成・支援を盛り込んでもらいたいと思います。


 

 

 

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