介護業界の離職率は、介護職員の処遇改善が図られてきてから、いくぶん落ち着きを見せています。
とはいえ、それは統計的な話ですので、職場によってはその差はありますし、離職する理由も様々です。
新しい職種に挑戦したい
職場の人間関係やトップのやり方に嫌気がさした
より条件のよい職場に移りたい 等
肯定的な理由もあれば、否定的な理由もあります。
いずれにせよ、職場を預かる管理職であれば、職員の離職は痛手になります。変わらぬメンバーでやっていけるなら、それに越したことはないし、ある程度の水準の仕事ができるメンバーであれば、なおのこと辞めて欲しくないと思うでしょう。
仮に、職員から退職届が提出された時に、管理職はいろいろな思いをいだくことになります。
驚き(ショック)、悔しさ、残念さ、無力感、これらが転じて怒りが湧く人もいるかもしれませんが、退職が決定的になるとつきまとうのが「不安」です。
わたしの個人的な見解としては、次の2つの不安は少なからず頭をよぎるだろうと思います。
「採用できずに職員不足が長引いたらどうしよう」という不安
「次に採用する人は続くだろうか」という不安
①「採用できずに職員不足が長引いたらどうしよう」という不安
この不安は、なんだか漠然とした不安として、つきまといますよね。
その背景には、いろいろな要素が隠れています。
昨今、職安や求人誌に求人を掲載しても「エントリー(応募)ゼロ」ということも珍しくありませんし、外食産業も注文や配膳の人手を減らす努力をしていますし、小売業でもセルフレジの普及で会計にかかる人手を減らしていますから、社会全体の人手不足感が、不安の背景になっていたりします。
また、自社にエントリーしたくなるだけの特徴があるか?と言えば、これといったものが思い当たらず、魅力のある会社が他にあればそっちにもっていかれるという想像も、不安の背景になるでしょう。
さらには、街の人口が減少し、高齢化が進んでいる地域であれば、給料が良くても来てくれないんじゃないかという想像が働き、それもまた不安の背景になったりしますよね。
②「次に採用する人は長く続く(定着する)だろうか」という不安
こちらは、ある程度、チームワークや職場の雰囲気が良く、様々なルールや手順がきちんと守られる会社であれば、心配はないと思いますが、いわゆる「出入り(入職・退職のサイクル)が激しい職場」の場合は、頭をよぎりますよね。
だいたい、これが頭をよぎる時は、いまいるメンバー間でなにかしらうまくいっていない実態がある場合が多いのだろうと推察されますが、いかがでしょう?
まずは「不安」の正体に目を向ける
不安は感覚でしかなく、不安そのものに実態はありません。
実態は、不安の背景にあります。
社会全体の人手不足感
地域の過疎化
自社の魅力不足
チーム内の人間関係のまずさ
改善が必要と思われる社風 等
こうした実態を、「手の打てるもの」「手の打てないもの」に分けてみると、どうでしょうか?
<手の打てるもの>
③・④・⑤
<手の打てないもの>
①・②
「いやいや、③も④も⑤も手が打てないですよ」という声が聞こえてきそうですね(汗)
まあ、①・②は明確に自社の取り組みだけで、一朝一夕に変えられるものではないことはハッキリしていますね。
③・④・⑤も、一朝一夕には変えられないと思うかもしれませんが、①・②に比べれば手をつける余地はあるはずです。
ただ、③・④・⑤の改革に着手するとなると、「摩擦」が起きそうな気がするのかもしれませんし、一人では改革できないこともあるかもしれません。
そのような場合は、仲間がいないことが、漠然とした不安の背景になっているのかもしれません。だったら、まずは改革の仲間を作ることから始めるのも良いかもしれません。
そう考えると、つくづく、状況をよくするための仲間がいるかどうかって大事ですね。
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