表面的な事象に振り回されるのではなく、問題にひそむ「質」に着目すること。
普段の会話ではそんなに意識していませんが、わたしがコーチの立ち位置で話を聴く時は、心がけています。
具体例を出します。
「それ、マズくない?」という仕事をしている人がいるとします。
仮にAさんとしましょう。
それを見たBさんが「それは良くないよ」とAさんにフィードバックします。
このフィードバックでAさんの仕事ぶりが改善されればOKです。
ただ、フィードバックしたことが改善されなかった場合、Bさんにはいくつかの選択肢があると考えられます。
改善するまでAさんに何度でもフィードバックする
上司にAさんへのフィードバックを委ねる
改善をあきらめる
このBさんは、一度は、自分で伝えているパターンですが、最初から上司に委ねるパターンや、最初から改善をあきらめて関わらないパターンもあると思います。
で、本題の「質」に着目するとはどういうことか?です。
例えば、②「上司にAさんへのフィードバックを委ねる」というパターン。
今回の例で言えば、Bさんも直接フィードバックした上で、改善が見られず、上司にバトンタッチして委ねる形ですので、Aさんの仕事ぶりの改善という軸にそってアプローチしていると見ることができます。
一方で、Bさんが直接フィードバックせず、いきなり上司に委ねるパターンもありますよね。
そういうパターンの場合は、質として『(より上位からの)強制的な力に頼る』という質がその組織にあると見ることができます。(あくまでも、そういう見方もできるという意味であって、必ずあるという意味ではありませんよ)
で、「強制的な力に頼る」という質が組織にあると仮定して、他の問題(現象)とつながっていないかを探るんですね。
例えば、こういう質があるとしたら、以下のようなことが起こり得ているかも?と見るようにしています。
本人に言わずに不満をためて陰口をいう人がいる
自分のことを棚に上げて「会社のせい」「上司のせい」「誰かのせい」にする人がいる
おかしいと思っても、空気を読んで、言わずに飲み込んだことがある
「ん? どんなつながりが?」と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、ここは「質」に着目してみると、徐々に、その関連性や構造が見えるようになります。
そうすると、別の問題のように見える事象も、「強制的な力に頼る」という質にアプローチすることで、これまで変わらなかったことが変化し始めるということが起きます。
面白いくらい、簡単に、緩やかに。
もちろん、「強制的な力に頼る」という質が、マニュアル改変や人事異動などでプラスに働く場合もありますので、「強制的な力に頼る」ということ自体が、常に問題点だと言いたいのではありません。
表面的な事象に振り回されて、行き詰まりを感じる時は、問題にひそむ「質」に着目してみてください。
他人事でとらえる質
見て見ぬふりをする質
他人にどう思われるかを気にする質
はっきりしなことを曖昧なままで放置する質
等々、いろんな質があり得ます。
一つと限らず、二つが折り重なっている場合もあります。
同じ事象でも、質にあわせて、異なったアプローチが考えられます。
まずは、気づく練習から始めてみましょう。
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