上司をあきらめる
例えば、会社の上司と考え方が違っていたり、やり方がすごく手間取るやり方だから、変えてほしいという考えがあったりして、上司に伝えたいことがあるとしましょう。
上司の考えを何度も聞かされ、自分との違いがハッキリしている場合、自分の考えや判断基準をわかってもらえるように、「それは良くないと思います」「それはとても困ります」と、事情や感情を込めて伝えることでしょう。そんな時に、次のようなことがあるとどうでしょう?
・頭ごなしに否定される
・ケンカ腰で反論される
・パソコンを操作しながら目もあわさずに話を聴かれた感じがしない
・「わかった、わかった」と生返事だけで、状況が変わらない
わたしの経験上、往々にして、この上司を「あきらめる」という選択をする人は、少なくない印象です。
本当はあきらめていない?!
では、本当にスッパリあきらめているのか?というと、実は腹の底ではあきらめていないケースも、これまた少なくありません。
表面上、本人に言わなくても、言いたいことが消えてなくなっているわけじゃないので、本人がいないところであれこれ言うことになります。
「だいたいうちの上司は、本当に話を聴かないよね」
「ほんと、現場のことわかってないよね」
「あの人が変わらないと、みんな辞めていっちゃうよ」
こんな話を、職員の休憩室や、喫煙所、給湯室や更衣室でしたことがある、あるいは聞いたことがあるという経験は、きっと一度や二度はあるでしょう。
きっと、言いたいことがある人って、あきらめてはいないんでしょうね。しかし、本人以外の人に話してみても、なにも変化は起きません。逆に、それが本人の耳に入ったら、「なんで直接言ってくれないの?」「陰でコソコソいってるなんてひどい」となり、かたくなに変わることを拒んだり、攻撃をしてきたりするかもしれません。
本人がいないところであれこれ言うことは、「百害あって一利なし」です。まるでタバコみたいですが(笑)
話し合えるパートナーシップがカギになる
いわば、言っても言っても伝わらないという体験が、その人の「あきらめ」を生み出し、百害あって一利なしのコミュニケーションが蔓延するきっかけになるのだとしたら、とても残念ですよね。
多くの場合、それは聞く耳を持たない人が悪いという話になりがちです。それも、もちろんパートナーシップを損ねる行為ですが、伝えたいことや要求がある人があきらめる行為も、パートナーシップを損ねる行為になってしまいます。
パートナーシップって、確実に「ある」という風に目に見えるものではないけれど、「ない」と途端に相手との間にひずみが生まれますから、誰かとの協力・連携が大切な仕事では、トラブルや不平不満が生じることにもつながります。
「言いたいことがある」から言う。これは言えるかもしれません。
しかし、言いたいことがあったけど、「それを聴く耳を持ってくれないのでツラい」という気持ちは、なかなか言わなかったり、言えなかったりします。
これを言えないことが、「あきらめ」を生むことにつながっているので、その偽らざる気持ちを表現することがカギになります。
些細なひっかかりや感情などを持ち出しても、それを言う&聴く関係を約束していれば、どんなに楽に持ち出せるようになるでしょうか。
パートナーシップの土台は、そんな些細な確認の上に成り立つんじゃないかと思います。
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