ぺ ホス(裵 鎬洙)

2020年9月3日4 分

「詰問」が待ち構えている経営会議

最終更新: 2020年9月10日

経営会議で「詰問」が飛んでくる

 とある会社の経営会議の様子を聞く機会がありまして、さきほど、あれこれ考えておりました。

 会社の業績を上げて、安定的な経営をすることは会社にとっても消費者にとっても求められることですが、各店舗の業績が思わしくない時に、経営者がどう振る舞うかで、会社のコンテクストが創られ、伸び続ける会社でいられるかどうかが分かれます。

 いまのところ、わたしが関わってきた中小規模の会社の経営会議では、十中八九、非建設的な会議が行われています。

「なぜ、業績があがっていないんだ」
 
「どんな取り組みをしてきたんだ」
 
「それで結果が出ていないなら、他の工夫は考えたのか」

 まぁまぁ、店舗の管理者の体験としては「詰問攻め」をされるわけです。中には、「どうしようもないよ。こんな予算、最初から無理じゃん」と、あきらめと義務感だけで働いているような人もいるかもしれませんが、それでも各管理者は、考え得る限りのことに取り組んで、それでも結果が出ていないという状況なので、ある意味、八方ふさがりな状況に追い込まれている可能性があります。

 そこにきて、毎月の経営会議では、「詰問」が待っている。こんなに苦しい経営会議はないでしょうね。

可能が開かれる会議でありたい

 過去の結果を、しっかりと検証するにしては、先ほどの問いはいずれも適切な問いのはずです。

・業績が目標値に届いていない理由は何か。
 
・この間、どのような取り組みをしてきたか。
 
・目標達成が厳しいとわかってから、違いをつくったことはあるか。

 ただ、これらの確認が、「まるで公開処刑」「懺悔大会」と感じられるような会議運営になってしまっている会社が少なくないという印象です。

 これから未来に結果をつくりたいから、いま会議をしているはずなのに、これまでの結果の「ハンセイ」だけがあって、違いをつくるポイントを絞り、アイディアをひねり、次なる一手を一緒に考える場がつくれていない経営会議って、長期的に見ると百害あって一利なしです。

 経営会議は、すべての参加者が、各店舗の成果を一緒に喜べて、不足点を挽回するために一緒に考える場になっていなければ、一体、窮地に追い込まれている管理者は、どこに救いを求めればいいのでしょうか。

 目に余る会社になると、「経営者って孤独なものだ」というコンテクストでいるため、雇われ管理者も孤独で、相談できる相手がおらず、たまりかねて社長に相談しても、最後は「なんとか頑張れ」で話が終わって、結局、孤独…という会社もあります。

 外部の人からは「多店舗展開している敏腕経営者」に見えるのでしょう。外部の人にはもてはやされていても、内部の人は冷ややかな目線で社長をみている・・・。なんか、そんなのって残念だなと思うわけです。

 ちょっと話が脱線しちゃいました。元に戻ります。

「わからない」と言えない会議

 往々にして、上記のような経営会議は、経営者の独演会になりがちです。

 この先が見えないご時世の中で、本当は、経営者自身もくっきりと未来が見えているわけでもなく、ぼんやりとした視界の中で、舵を切っている経営者もいることでしょう。

 本当は社員からの新しい提案や問題意識を持ち出してもらいたい。
 
 もっと会社の経営のことを自分事にしてとらえてもらいたい。
 
 そう願ってやまないはずなのに、ふたを開ければ「詰問」と「独演会」になっている。

 そこにはきっと、会議の中で「社員が黙ってしまう」という場面を、何度も経験したことで、機能しないコンテクストを創り出してしまっているのでしょう。

「(社員には)主体性が欠けている」

 積極的に意見が出ないことを、「考えていない」「わかっていない」「他人事にしている」「義務感でやっている」という風に見てしまうと、「主体性が欠けている」というコンテクストができあがり、社員の沈黙が、真剣に考えている沈黙だとか、わからないことがあって困惑している沈黙だといったとらえ方が生まれてこなくなってしまいます。

 その沈黙は、何を、どのように考え、何に重点を置き、どんな価値を創り出せるのかが「わからない」だけなのかもしれない。わからないなりの意見を言って、「それは違う」とバッサリやられると、もはや「わからない」ということ自体を口にすることができない。

 自分が「わからない」と口にすることすら出来ない会議では、もはや意見を交わすこともできないし、ましてや経営者が求めるアイディアを、仮に思いついても言葉にできなくなってしまいます。

 逆に「わからない」と言えれば、経営者は「社員がわかっていないことがわかる」わけですから、さらに細かな議論や観るべき観点の提示や、学ぶべき理論についても伝えられるでしょう。それでこそ、人が伸びるというものです。

 「わからない」を飲み込んでいる会議に、あなたの組織はなっていませんか?

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